虚構はしょせん虚構に過ぎない。だが虚構を求める人々の心は「真実」だ
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「本当は優しくない日本の両親」「学歴大国アメリカ」 (2004.08.01 Sunday) [いんちき心理学講義]
 ●ダメ日本青少年と素晴らしい海外青少年
 日本人は、昔から海外が大好きです。ついでに過去を美化することも大好きです。特に大人たちは新聞の記事にかこつけて、最近の日本の若者のだらしなさと、海外の若者の素晴らしさを誉めそやします。

 やれ、日本の若者が凶悪な犯罪を犯し、イジメが横行し、不登校やらひきこもりやら・・・。
 別に海外の若者が凶悪犯罪を犯したからって日本の新聞記事に載るわけがないと思うのですが、それは横に置いといて、若者が殺人でもやろうものなら、日本の若者、そして特に最近の若者の凶悪さを強調します。

 近年の日本の若者は、本当に心の許せる友人がおらず、ゲームやマンガの蔓延が現実感を無くし、残虐な犯罪にもやすやすと手を染めるようになるわけです。
 海外大好き人の中には、「海外には日本のような陰湿なイジメはない」とまで発言する人もいます。彼等の目にKKKは見えないようです。視力が0.1以下なのかもしれません。

 ところで、日本と海外の少年による意識の差の調査が、「世界青少年意識調査」と銘打たれ、総務省によって行われています。
 これは、18〜24歳といった、高校・大学生から社会人に成りたての若者を対象に行った家族関係や友人関係、国に対する意識などの統計票です。

 これはあくまでも「意識調査」であって、そのまま現実社会に当てはまるとは限りません。例えば、最新の世界青少年意識調査に「自分の誇れるところ」という項目があるのですが、アメリカ青年の8割が「やさしさ」を選びました。「アメリカ人」という単語「やさしさ」という単語の間には暗くて深い溝があるように思えますが、人間自分だけは優しいと思っているものです。

 とはいえ、「社会に対して各国の若者が実際にどう思っているのか」ということを公的に調査したという点で有用であると思います。

 なお、以下に引用するデータは、2002〜2003年度に調査された最新の「第7回世界青少年意識調査」を使用にしています。

 ●優しくない日本の親子関係
  最近の日本の家族の問題として、親子関係が友達関係のようになっているということです。これを「友達親子」といい、一緒に買い物に行ったり、ゲームで対戦したりと和やかな雰囲気が作られる代わりに、親と子の境界線があいまいになり、優しすぎるため、親の権威という壁が消滅し大人的な自立心が育まれにくくなるというものです。
 それに比べ、海外の父親は親としての役割をきちんと果たしているからこそ、国際的にも通用する自立した青年に成長するのです。全く最近の日本の若者ときたら・・・。

父親の存在イメージ

1位 2位 3位 4位 5位
日本 尊敬できる
39.2%
優しい
32.3%
厳しい
28.8%
自分を理解してくれる
25.8%
生き方の手本となる
15.4%
韓国 厳しい
41.4%
尊敬できる
40.6%
生き方の手本となる
29.1%
優しい
29.1%
自分を理解してくれる
25.0%
アメリカ 尊敬できる
67.6%
優しい
52.9%
友達のようである
45.2%
生き方の手本となる
42.7%
自分を理解してくれる
34.9%
スウェーデン 尊敬できる
72.8%
優しい
61.8%
自分を理解してくれる
34.1%
生き方の手本となる
32.9%
友達のようである
25.9%
ドイツ 尊敬できる
53%
自分を理解してくれる
38.9%
優しい
37.8%
友達のようである
35.3%
生き方の手本となる
33.1%

 訂正します。海外の父親は日本よりも優しくて友達のように感じられるようです。欧米では親と子の境界線があいまいになり、優しすぎるため、親の権威という壁が消滅し大人的な自立心が育まれにくくなっているのでしょう。

 もっとも、これは父親の存在イメージです。日本では母子密着が突出しているといわれるので、恐らく母親のデータで比べれば、日本の親子関係の軟弱性が看破されるでしょう。全く最近の日本の若者ときたら・・・。

母親の存在イメージ

1位 2位 3位 4位 5位
日本 優しい
42.7%
自分を理解してくれる
39.5%
尊敬できる
28.0%
友達のようである
26.8%
厳しい
16.2%
韓国 優しい
55.9%
友達のようである
46.7%
自分を理解してくれる
45.0%
尊敬できる
30.9%
生き方の手本となる
25.7%
アメリカ 尊敬できる
74.1%
優しい
68.9%
友達のようである
62.4%
自分を理解してくれる
53.9%
生き方の手本となる
50.7%
スウェーデン 尊敬できる
77.5%
優しい
76.9%
自分を理解してくれる
56.3%
生き方の手本となる
37.8%
友達のようである
37.8%
ドイツ 優しい
63.9%
尊敬できる
57.3%
自分を理解してくれる
50.9%
友達のようである
46.7%
生き方の手本となる
32.6%

 訂正します。日本の母親は他国に比べてあまり優しくなく友達のように思えないようです。アメリカの青年の60%以上、韓国・ドイツの半分近くが母親を友達のように思っているというのに日本だけはわずか1/4程度です。しかも、5ヶ国のうち半分以上の青年が母親を優しいと思っていないのは日本だけです。日本の親子関係は外国に比べて優しさも少なく友情もイマイチです。海外を見習うならばもっと甘やかさないといけないことが判明しました。

 ●独立心の無いアメリカ人
 日本といえば「パラサイトシングル」が流行語となっているように、独立心の無さが問題視されています。日本人は親に寄生しぬくぬくと育っているから軟弱に育ち、海外の若者の自立性に遥かに劣ってしまうのです。特にアメリカなどは独立戦争の存在から分かるとおり、国の成り立ちからして独立心を育むようになっています。
 中にはパラサイトシングルの若者を無理矢理親から独立させ自立心を養うべきだと主張する人もいます。そういう人もいるわけだから、日本の若者の独立心の無さは、日本人にとっては当然の前提となっています。全く最近の日本の若者ときたら・・・。

 訂正します。アメリカ人は日本人と比べて独立心の低い軟弱者です。「そう思う」「どちらかといえばそう思う」を足した数字は日本が80%を超えているのに比べてアメリカでは70%です。
 欧州ではドイツが日本とほぼ同等で、注目すべきはスウェーデンです。なんと50%しか「独立すべきだ」と考えていません。福祉国家スウェーデンは日本を遥かに超える軟弱性の持ち主でした。

 ついでに、各国の同居者比較を見てみましょう。同居者比較とは、一体誰と住んでいるかというデータで、一人暮らしの率もここに含まれています。

 アメリカ青年の一人暮らし率は日本より少ないということが判明しました。欧米の父母との同居率がかなり低いですが、これは離婚率が高いためだと思われます。
 ただし、アメリカではルームメイトの同居率が高いので、どちらがより独立心を育むのかは分かりません。
 ただ、ここで注意しないといけないのは一人暮らし率は実際よりも高めに見積もる必要性があるということです。これは複数回答可の設問ですが、複数回答をしているのは同居していると答えた人間だけで、一人暮らしの人間は複数回答をしているはずがないからです。
 「アメリカ人は20%がルームメイトという血縁関係の無い人と同居しているのか」と思わせておいて、実は親とも同居していたという落とし穴もありえます。

 ●悪党なスウェーデンの青年
 ここで面白いのはスウェーデンです。先ほどの独立心の設問では50%が「別に経済的に独立しなくてもいいじゃん」と考えているいい加減な若者が多いにもかかわらず、一人暮らし率が極めて高いのが特徴です。普通に考えれば、親から金を払ってもらって悠々自適の一人暮らしをしていると予想されます。そう言えば、親子関係の設問では父母共にスウェーデンが「やさしさ」の割合が最も高かったですね。

 しかし、これだけ子どものために尽くしているにも関わらず、スウェーデンの親は報われません。

 スウェーデンの親は優しく、子どもはぬくぬくと経済的に援助してもらって当然と考えているにもかかわらず、「将来は何が何でも親を養うぜ!」と考えている青年は5か国中最低で、ほとんどが「まあ金があれば養うよ」との現実主義です。
 養う関係では、アメリカが明らかに突出していて親子関係の深さを感じられる人もいると思いますが、教授的には「自分の生活力に応じて〜」の割合が低すぎることから、特に根拠もないのにアメリカンドリームを信じてるだけというような気がします。

 ●過去より満足している青少年
 若者は常に社会に対して不満を抱いていることにされています。特に現代社会はストレス社会と呼ばれ、多大なストレスが子どもたちにかかり、それが家庭内暴力やひきこもりにいじめや差別といった人間関係の問題を引き起こし、少年による神戸連続小学生殺傷事件などといった凶悪犯罪が頻発することになるのです。全く最近の日本の若者ときたら・・・。

 訂正します。若者は現状に対してあまり不満は持っていないようです。日本の満足度は諸外国に比べれば低めですが、「満足」「やや満足」を足した数字は84.8%で、不満度は13.2%程度です。ただ、これはあくまでも家庭生活の満足度なので、家庭生活以外の人間関係や学校生活などに関しての満足度は不明です。

 とはいえ、日本が他国に比べて低いのは事実ですので、このことから、「最近の日本の若者が外国に比べて満足度が低く、不満度が高いのは事実だ。まだ数値には表れていないが、日本の家庭崩壊の前兆であると言えよう」と主張することも可能です。そう考えると、全く最近の日本の若者ときたら・・・。

 訂正します。劇的に差があるわけではないですが、最近の日本の若者は、過去に比べて家庭生活に満足しています。満足度が高くなると同時に不満度も抑えられており、家庭崩壊が進んでいるとは考えにくいと思われます。とりあえず、20年前はもっと今よりもっと家庭が崩壊していた可能性が高いと言えるでしょう。

 ついでに言うと、「人生への不満が少年を殺人に駆り立てている」という説ですが、

殺人検挙人数 満足+やや満足度 不満+やや不満度
昭和52年 77人 80.2% 15.8%
58年 87人 74.6% 22.0%
63年 82人 74.0% 21.8%
平成5年 75人 80.9% 17.8%
平成10年 117人 86.8% 11.4%
平成15年 96人 84.8% 13.2%

 青少年の満足度、不満度と殺人検挙人数に関連性があるようには見えません。無理矢理関連性を見出そうとするなら、むしろ満足度が高い方が殺人が犯しやすいように見えます。

 ちなみに、妥当性は全くありませんが、別の方向性でも満足度と犯罪発生率をこじつけることもできます。

 国ごとの満足度比較は
 スウェーデン>アメリカ=ドイツ>日本>韓国
 となっています。不満度はこの逆です。

 そして各国の犯罪発生率は
 スウェーデン>ドイツ>アメリカ>日本>韓国
 となっているので、満足している人間が多いほど犯罪発生率が高いと考えることも出来ます。
 
 もっとも、この場合の犯罪発生率は軽犯罪も含めた総合的なもので、凶悪犯罪に限定した場合はアメリカが飛びぬけ、スウェーデンは激減します。あくまでこれはこじつけであり、満足度と犯罪発生率に特に関連性は見受けられません。

 ●学歴大国アメリカ
 日本社会の問題点は、どの一流大学を出たかという学歴ブランドが重視されることにあります。

 我が国は学歴が重んじられた「学歴社会」であるという認識がいまだに根強くあります。これは、個人に対する評価において「いつどこで学んだか」が重視され、それが個人の能力や個性のみならず個人の価値にまで影響を及ぼしているという考え方によると思われます。そして、こうした考え方が、「良い学校を卒業し良い会社に就職する」という終身雇用制を前提とした学歴信仰となって学校及び家庭を中心に依然として強く残っており、学校において「良い高校、良い大学に入学しよう」とする受験競争を生み、知識の詰め込み教育を助長し、「学ぶこと」の楽しさや喜びが奪われています。こうして、青少年期に習得した学校歴のみが評価され、「何をどれだけ学んだか」という学習内容と学習成果を的確に評価することが妨げられています

 学歴社会の弊害
 確かに一流大学にはいることは難しく、それなりの能力があると見なされるのは当然かもしれませんが、それにも限度というものがあるでしょう。学歴というものはあくまでも素材であり、本当に重要なのは個々の人間の能力であるはずです。しかし学歴を重視する日本社会が学歴社会と呼ばれ、少年たちに過剰とも思える知識偏重の教育に走らせ、精神が置き去りにされた判断力の無いロボットのような人間が出来上がるのです。全く最近の日本の若者ときたら・・・。

 訂正します。日本の若者は社会で成功する要因として、努力や才能がもっとも重要であり、学歴などたいしたことがないと考えています
 それよりも、アメリカ青少年は学歴へのこだわりが非常に高いことが分かりビックリです。それどころか、欧州も軒並み高い数値です。欧米では学歴よりも個人の才能が重視されるのではなかったのでしょうか?
 欧米の青少年は、知識の詰め込み教育をし、「学ぶこと」の楽しさや喜びが無く、精神は置き去りにされ、判断力の無いロボットみたいな人間に育っているようです

 まあ、これはあくまでも青少年が成功するのに重要だと考えている要因で、実際とはズレがあるはずですが、少なくとも日本の青少年は学歴よりも努力や才能を重視し、アメリカの青少年は努力が重要だが、才能と学歴を同列に置いていることが分かります。

 ただし、これはあくまでも2002〜2003年度のデータです。
 昨今の日本ではかつてほど学歴が重視されるようにはなっていないので、学歴重視率の低さはそれを反映しているのかもしれません。かつての日本の若者は、やはり学歴を重視していたと考えるのが妥当でしょう。

 訂正します。学歴を重視しない若者の傾向は近年特有のものではなく、昭和52年(1977年)の時点でもそうでした。1980年代は受験戦争が最も激化した時期でしたが、騒いでいるのは大人だけで青少年は「学歴なんかたいしたことねーよ」と思っていたわけです。
 なお、これは社会というものが分かっていない中学・高校生の戯言ではありません。
 最初にも書きましたが、この調査は18〜24歳が対象なので、そもそも中学・高校生は含まれていません(正確には、高校3年はギリギリ含まれていますが)。少年の分類とはやや外れて「大学生」「大卒就職者」「高卒就職者」が基本的な対象となっているのです。

 第7回の調査では、「成功の要因」は上位3種しか公開されていないので、正確には第7回目の学歴重視のパーセンテージは分からないのですが、この傾向からして10%前後から大きく外れてはいないと思います。
 なお、今までの歴代調査の結果から言っても、ここまで若者が学歴を重視しないというのは日本特有の現象です。大抵の先進国では低くても学歴重視の割合20〜30%はあるし、40%以上の国も少なくありません。
 そう考えると、10%前後というのが以下に低いかが分かるでしょう。

 こう考えると、かつての日本に本当に学歴社会があったのかという疑問が浮かんできます。いくらなんでも学歴重視の考えが低すぎますし、「第六回世界青少年意識調査」の日本人回答者割合は、学歴が「高卒」の人間が42%をしめています。
 平成10年で42%ですから、もっと前の年代ではさらに高卒の割合が多かったはずですが、それでも「学歴はたいしたことがない」と考えているのですから。

 と思って調べたらありました。神話としての「学歴社会」について
 この文はリンク先で読んでもらうとして、本として出版されているものに「学歴社会」という神話というのもありました。
 この本によると学歴社会の真実は、
 (1)現実には、日本での学歴の影響力は欧米に比べて小さい。
 (2)受験戦争は、ゆがんだ生活をもたらしていない。
 (3)実際の教育は能力主義ではなく、平等主義である。
 ということだそうです。まだ教授は読んでいないので詳しい内容については後日ということで。

 『古代エジプトの遺跡から「最近の若者はなっていない」と書かれた文字が見つかった』という有名な話がありますが、教授はそれの逆パターンとして「最近の大人は・・・」と書かれた文字がどこかの遺跡から発掘される日を心待ちにしています。


・日本の親子関係は外国と比べて優しさと友情が足りません。
・アメリカの青少年は日本人と比べて独立心が劣ります。
・スウェーデンの親は優しいわりに報われません。
・最近の日本の若者は過去に比べて家庭生活に満足しています。
・欧米の青少年は学歴重視で知識偏重のロボットのようだと予想されます。
・最近の大人は・・・

 関連:「幸福で満足で愛国心があり人間関係が豊かな現代日本の青少年」

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