本当に実在する『フェニックス』 (2004.08.09 Monday) [教授によるムダ知識メモ] |
人間にとって不老不死というのは永遠の夢です。
中国大陸を制覇した秦の始皇帝は不老不死になりたいと願い、水銀を不老長寿の妙薬と信じて飲み続けて死亡しました。
有名は手塚治虫の作品に「火の鳥」というマンガには、不死鳥フェニックスが登場し、その血を飲んだ物は永遠に命を手に入れられると言われています。
不老不死ものでは、他に高橋留美子の「人魚シリーズ」があります。この物語は人魚の肉を食べ不老不死となった男女の苦しみが描かれていました。今では「永遠に生きるのは苦痛」というテーマの作品は腐るほどあります。このテーマの元祖というべき作品がどれなのかはちょっと分からないのですが、少なくとも「人魚の森」はその先駆けのだと思います(正確には、この作品のテーマは別にありますが)。
ただ、どの作品にも言えることは不老不死は人間の永遠の「夢」。ありえないこととされています。今では遺伝子学が発展し、老化や不老のメカニズムが研究され「寿命の遺伝子(仮)」テロメアなども発見されてはいますが、実際に人間の老化を止めることが出来たという話は未だにありません。
しかし、自然は偉大です。不死鳥は不老というわけではなく、歳を経ると自ら燃え出して灰となり、再び灰の中から幼生となって甦るという伝説を持っているのですが、この不死鳥と極めて酷似した性質を持つ生物が発見されました。
その生物がこいつです。
最近では週刊少年ジャンプに連載されている「未確認少年ゲドー」というマンガで不老不死のクラゲ「トビクラゲ」というものが出てきました。このマンガに出てくるトビクラゲはフィクションの存在ですが、ベニクラゲは実在の生物です。
まず、クラゲは生まれてからずっとクラゲというわけではなく、「ポリプ」と呼ばれるイソギンチャクのような形態からクラゲの元となる芽を出して、それがクラゲのような姿に変化します。
普通のクラゲの場合、有性生殖を行い子どもを作ると溶けて消滅するのですが、ベニクラゲの場合は死なずに再び幼生のポリプに戻って成長をしなおします。
つまり、ベニクラゲは歳を取っては若返り、再び歳を取っては若返るというまさに「フェニックス」ともいうべき永遠の循環サイクルを持っているのです。この不死の性質は1994年になって偶然に発見されました。
日本では、1998年にNHKスペシャルでテレビ放映されています。
とはいえ、ベニクラゲの全てが不死というわけではありません。イタリア近辺の地中海に生息する種だけが不死の特性を持っているのです。
ですので、これを読んだ教師が「よっしゃ!自然の神秘性を教えるためにベニクラゲを生徒に見せよう!」と捕まえてきて(日本中にいます)、生徒に見せたものの若返らず嘘つき呼ばわりされる展開になっても教授は知りません。
しかし、2003年になって、日本の種子島周辺に住むベニクラゲも不死性を持つことが確認されました。このニュースは新聞にも掲載されています(紀伊日報2003年10月5日)。
なぜベニクラゲが不死性を持つことになったのかというのは分かっていないのですが、理由の一つとして、そのあまりの「弱さ」が挙げられます。
ベニクラゲは1cm程度で非常に小さく食べごろで、さらにクラゲなので早く泳げません。これでは魚の食料として格好の的なのです。しかも毒も持っていないし、他に特別の能力も一切ありません。これでは絶滅するのも時間の問題ですね。
生物は、絶滅しないために様々な能力を生み出し生存競争を生き残ってきたのですが、その中でベニクラゲが選択した能力こそが「不死」だったのです。
老衰しない分だけ、ベニクラゲは数で優り生き残ることが出来ました。
不死が許されたのは、他に何も持たないベニクラゲだったからこそかもしれません。例えば、ベニクラゲは不老不死メカニズムの発見と不老長寿の薬の源泉となるかもしれないと、各国で盛んに研究されていますが、もしも本当に人間に寿命がなくなったら大変です。
ベニクラゲの場合は天敵がいくらでもいるので、永遠のサイクルを持ってしても、無限に増え続けることはできません。不老不死とはいえ、本当に不死なのではなく、いつでもあっさりと食べられてしまう危険性を孕んでいます。
天敵が存在しない人間が不老不死となったら、地球を埋め尽くすほどに増えることは簡単に想像できます。
仮にそうなったら、世界が一丸となって宇宙コロニーの開発が行われるでしょう。もし失敗したら、地球だけで無限の人口の食料と生息地を支えられることはありえませんから、それが原因で文明崩壊や人類絶滅となるかもしれません。
中国大陸を制覇した秦の始皇帝は不老不死になりたいと願い、水銀を不老長寿の妙薬と信じて飲み続けて死亡しました。
有名は手塚治虫の作品に「火の鳥」というマンガには、不死鳥フェニックスが登場し、その血を飲んだ物は永遠に命を手に入れられると言われています。
不老不死ものでは、他に高橋留美子の「人魚シリーズ」があります。この物語は人魚の肉を食べ不老不死となった男女の苦しみが描かれていました。今では「永遠に生きるのは苦痛」というテーマの作品は腐るほどあります。このテーマの元祖というべき作品がどれなのかはちょっと分からないのですが、少なくとも「人魚の森」はその先駆けのだと思います(正確には、この作品のテーマは別にありますが)。
ただ、どの作品にも言えることは不老不死は人間の永遠の「夢」。ありえないこととされています。今では遺伝子学が発展し、老化や不老のメカニズムが研究され「寿命の遺伝子(仮)」テロメアなども発見されてはいますが、実際に人間の老化を止めることが出来たという話は未だにありません。
しかし、自然は偉大です。不死鳥は不老というわけではなく、歳を経ると自ら燃え出して灰となり、再び灰の中から幼生となって甦るという伝説を持っているのですが、この不死鳥と極めて酷似した性質を持つ生物が発見されました。
その生物がこいつです。
最近では週刊少年ジャンプに連載されている「未確認少年ゲドー」というマンガで不老不死のクラゲ「トビクラゲ」というものが出てきました。このマンガに出てくるトビクラゲはフィクションの存在ですが、ベニクラゲは実在の生物です。
まず、クラゲは生まれてからずっとクラゲというわけではなく、「ポリプ」と呼ばれるイソギンチャクのような形態からクラゲの元となる芽を出して、それがクラゲのような姿に変化します。
普通のクラゲの場合、有性生殖を行い子どもを作ると溶けて消滅するのですが、ベニクラゲの場合は死なずに再び幼生のポリプに戻って成長をしなおします。
つまり、ベニクラゲは歳を取っては若返り、再び歳を取っては若返るというまさに「フェニックス」ともいうべき永遠の循環サイクルを持っているのです。この不死の性質は1994年になって偶然に発見されました。
日本では、1998年にNHKスペシャルでテレビ放映されています。
とはいえ、ベニクラゲの全てが不死というわけではありません。イタリア近辺の地中海に生息する種だけが不死の特性を持っているのです。
ですので、これを読んだ教師が「よっしゃ!自然の神秘性を教えるためにベニクラゲを生徒に見せよう!」と捕まえてきて(日本中にいます)、生徒に見せたものの若返らず嘘つき呼ばわりされる展開になっても教授は知りません。
しかし、2003年になって、日本の種子島周辺に住むベニクラゲも不死性を持つことが確認されました。このニュースは新聞にも掲載されています(紀伊日報2003年10月5日)。
なぜベニクラゲが不死性を持つことになったのかというのは分かっていないのですが、理由の一つとして、そのあまりの「弱さ」が挙げられます。
ベニクラゲは1cm程度で非常に小さく食べごろで、さらにクラゲなので早く泳げません。これでは魚の食料として格好の的なのです。しかも毒も持っていないし、他に特別の能力も一切ありません。これでは絶滅するのも時間の問題ですね。
生物は、絶滅しないために様々な能力を生み出し生存競争を生き残ってきたのですが、その中でベニクラゲが選択した能力こそが「不死」だったのです。
老衰しない分だけ、ベニクラゲは数で優り生き残ることが出来ました。
不死が許されたのは、他に何も持たないベニクラゲだったからこそかもしれません。例えば、ベニクラゲは不老不死メカニズムの発見と不老長寿の薬の源泉となるかもしれないと、各国で盛んに研究されていますが、もしも本当に人間に寿命がなくなったら大変です。
ベニクラゲの場合は天敵がいくらでもいるので、永遠のサイクルを持ってしても、無限に増え続けることはできません。不老不死とはいえ、本当に不死なのではなく、いつでもあっさりと食べられてしまう危険性を孕んでいます。
天敵が存在しない人間が不老不死となったら、地球を埋め尽くすほどに増えることは簡単に想像できます。
仮にそうなったら、世界が一丸となって宇宙コロニーの開発が行われるでしょう。もし失敗したら、地球だけで無限の人口の食料と生息地を支えられることはありえませんから、それが原因で文明崩壊や人類絶滅となるかもしれません。
・『フェニックス』は実在し、日本にも存在します。 ・もしも不老不死が実現したら人類は滅ぶかもしれません。 ・って、なんでクラゲの話題でこんな物騒な結論に・・・。 |