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猫たちの語る「個性の神話」 (2005.02.08 Tuesday) [白猫と黒猫の対話集] |
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(この記事はmixiで掲載した文章に加筆修正を加えたものです)
| 「ええと、今回は個性と自分探しについてということで」 | |
| 「自分探しってのはあれだろ。暇をもてあましているOLが、レジャーする際にカッコつけた名称で呼んでいるだけだろ」 | |
| 「そういう極端な見解は置いといて」 | |
| 「まず、個性とはその人間固有の性質だと思われているが、実際はそうではなく他者との比較から生まれるものだと言えるだろう」 | |
| 「個性というからには、自分が問題なのであって他人は関係ないんじゃないですか?」 | |
| 「例えば俺様が『目から怪光線』を出せるとしよう。言うまでもないがこれは物凄い個性だ」 | |
| 「個性とかいうレベルではないと思いますが」 | |
| 「しかし世界中の猫々が皆『目から怪光線』を出せる世界だとすれば、いくら『目から怪光線』を出せてもそれは全く個性的であるとは言えない」 | |
| 「それは確かに」 | |
| 「逆に目から怪光線を出せない貴様という猫がいれば、それは(マイナスの面での)個性となるだろう。つまり『目から怪光線』自体は個性に全く関係がない。個性とは独立して存在するわけではなく、あくまでも周りとの対比によって生まれるものだからだ」 | |
| 「なるほど。ところで、個性といえば朝日新聞の記事ではこのような投書がありました」 | |
「私は、自分らしさというものが全く分かりません。付き合う友達によって変わってしまう自分。気分によって変わってしまう自分を考えると、いったい何が本当の自分なのか分からなくなります。自分には個性がないんじゃないかとずっと悩んでいます(朝日新聞2003/07/15)」 |
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| 「別にテメーのような雌豚に個性があろうがなかろうが誰も気にしねーよという感じだが」 | |
| 「でも、こういった悩みを抱えている人はかなり多いとおもいます」 | |
| 「この女は『個性は一貫したものである』という典型的な勘違いをしているな」 | |
| 「普通個性というと、どこでも通用するものじゃないんですか?」 | |
| 「最初の方にも言ったが、個性とは他者との比較によって生まれるのだから、ある場所で個性的とされる者が別の場所では無個性とされてもおかしくない。それに、生物の行動はその時の状況、周りにいる者、場所などによって影響されるのが当然だろう。もちろん俺様のように常に帝王であるという例外もあるが」 | |
| 「周りの状況に左右されても、それだけが個性がないと言えるわけではないと」 | |
| 「そういうことだな。まあ、それとこの女が個性的かというのとはまた別問題だが」 | |
| 「少し前に、道を歩いているお笑い芸能人にテレビでやっているように頭を叩いたところ、キレられて傷害事件に発生したことがありました」 | |
| 「典型的と呼べるような事件だな。普通に考えれば、テレビ上ではお笑い芸人として殴られてニコニコしていたとしても、実際ではそうとは限らない。というか、そうでないことが多数だろう。だが、若者にとって個性とは『どこでも一貫している』ものだから、個性的に見えるお笑い芸人はどこでも一貫しているはずだという考えがこの事件のキーだろう」 | |
| 「あのお笑い芸人は、テレビでは殴られて笑っていたから、ここで殴ってもボケで返してくれるだろう。と」 | |
| 「ああ。だが、どのような状況にあっても変化しない普遍的な感情や性格などは存在しない。逆に、個性は一貫しているという考えが強迫観念となって、一貫してない自分に対する不信感を植え付け、逆に一貫性を失いさらにあやふやにしているのがより実情に近いといえる」 | |
| 「一貫性を持つなんて不可能なのに、それを無理にやろうとしてなおさら自分の実像と外れていってしまうということですか」 | |
| 「本来、個性とは一つ一つ努力をして作り上げていくものだ。しかし現代の個性とは、「生まれつき持っているもの(隠されたもの)」という考えが蔓延している。要するに「本当の自分」とは、自分という原石を磨き上げて光り輝くようにするのではなく、自分の原石そのものがダイヤのように光り輝いている(はずだ)という思想であると言える」 | |
| 「努力によって変わった自分は『本当の自分』じゃないと」 | |
| 「そう、そこで「本当の自分探し」によって自分の奥底に眠る輝きを見つけようとするのだが、そこで見つけられた「本当の自分」は努力によって得られたものでも、自分が変わって得られたものではないのでひどく脆く崩れ去る。そしてまた、砂上の城を築くかのように、自分探しを再開する」 | |
| 「けれど、そのようなものをいくら探しても、そもそも存在しないとするならば見つかるはずがありませんよね」 | |
| 「まあ、ギラギラと照りつける太陽にイカロスが魅せられたように、太陽の輝きを越える俺様のカリスマ性に憧れてしまう気持ちも理解できなくもないが」 | |
| 「そして太陽に蝋の翼を溶かされて墜落すると」 | |
| 「そういうことだな。個性と幸せは無関係だし、結局のところ自分は自分以外のものになることなど出来ないのだから、個性そのものにこだわるより自分自身の能力を高めることに時間を費やした方が建設的だと言うことだ。分かったか脇役ども」 | |
